まだ、自分の髪で。——分け目がいちばん気になっていた頃、ウィッグを選ばなかった話

まだ、自分の髪で。——木の櫛と窓辺の静物 気持ち・体験談

まだ、​自分の​髪で。​——分け目が​いちばん気に​なっていた​頃、​ウィッグを​選ばなかった話

分け目が、​いちばん気に​なっていた​頃の話です。

隠したい。​でも、​髪に​負担はかけたくない。

あの頃の私は、​この板挟みの​中で、​いつも​立ち止まっていました。

今日は、​テクニックの​話の前に、​その気持ちの​話をさせてください。

隠したい。​でも、​負担はかけたくない

分け目が気に​なる人なら、​分かってくれると思います。

隠したい気持ちは、​もちろんある。​上から見られたくないし、​分け目がぱっくり割れて​見える日は、​それだけで​気持ちが沈む。

でも同時に、​こうも思うんです。​「隠すために、​これ以上、​髪や頭皮に​負担をかけたくない」​。

隠したい。​でも、​負担はかけたくない。
あの​頃の私は、​この二つの​気持ちの間で、​ずっと揺れていました。

ウィッグを、​本気で​考えた時期が​ありました

いちばん気に​なっていた​頃は、​ウィッグを​本気で考えました。​かぶるだけで​分け目の悩みは​消えるし、​たぶん、​いっきに​若く見える。​楽になれるのは、​分かっていました。

それでも、​選びませんでした。

蒸れそうだな、​とか。​汗をかく季節は​どうするんだろう、​とか。​長時間かぶっていたら、​結局、​頭皮に​負担がかかるんじゃないか、​とか。​考え出すと、​手が止まってしまったんです。

まだ​大丈夫なら。
まだ、​自分の髪で、​なんとかしたい。

これは、​ウィッグを​否定しているわけじゃありません。​あれに助けられている​人も、​たくさんいると思います。​ただあの頃の​私は、「まだ、​自分の髪で」の​気持ちのほうが、​少しだけ強かった。​それだけの​ことです。

パウダーも、​同じ理由で​使いませんでした

分け目にふりかけて​隠す、​あの​パウダーも、​同じ理由で​使いませんでした。​「なんとなく、​頭皮に負担がかかりそう」——​その勘だけで、​避けていたんです。

でも、​勘だけで​書くのも無責任なので、​今回きちんと​調べてみました。​そうしたら、​あの「なんとなく」は、​あながち間違いではなかったようです。

パウダー(細かい​繊維を髪に​付けるタイプ)​は、​静電気で頭皮の​毛穴にも入り込み、​詰まりや皮脂の​炎症の原因に​なることがある​そうです。​しかも、​ふつうの​シャンプーでは​落としきれない​ことがあり、​残るとかゆみや​毛穴詰まりに​つながる、​と。

※もちろん、​専用のクレンジングでしっかり落とせば​使えますし、​大事な日の​味方になる​人もいます。​「使うなら、​落とし方まで丁寧に」と​いうことだと思います。​私はそこまでの​手間を思うと、​今は選んでいません。

毛穴の詰まりに​ついては、​別の記事にも​書いています。

じゃあ、​何を​してきたか

ここまで「使わない」​話ばかりしてきたので、​じゃあ実際どうしてたの、​と​いう話も少しだけ。​これは、​今も​続けている​ことです。

正直に言うと、​劇的な方法はありません。​分け目の位置を​変えるといい、​とよく言われますが——前髪が薄い​パターンだと、​位置を変えても、​そんなに変わらないんですよね。これは、​やってみた​人にしか分からないところだと思います。

それでも、​私がやっているのは​このくらいです。

  • 分け目をまっすぐにせず、ジグザグにして、​地肌の​ラインをぼかす
  • 結ぶときは、きつく引っぱらない(引っぱり​続けると、​それが抜け毛の​原因になることもあるので)
  • 乾かすときに、根元を立ち上げる

いちばん効くと​感じるのは、​最後の「乾かし方」です。​一般的に言われているのは、分け目とは​逆の方向から​根元に温風を​当て、​指で​根元を持ち上げながら​乾かし、​最後に​冷風で固定する方法。​髪は​冷えるときに​形が決まるので、​最後の冷風が​ボリュームを​長持ちさせてくれる​そうです。

逆に、​前髪の​乾かし方を​失敗すると、​その日一日、​分け目が余計に​目立ってしまう。​だから私は、​乾かし方だけは、​ちょっと気を​つけています。

隠すのは、​諦めていないから

「隠す」って、​なんだか後ろ​向きな言葉に​聞こえるかもしれません。​でも私は、​そうは思っていません。

今日を気持ちよく過ごすために、​できる工夫を​する。​その​一方で、​根っこのところでは、​髪を育てる​ことを諦めない。​隠すことと​育てることは、​私の中では、​ちゃんと両立していました。

​今日は、​自分の​髪で乗り切る。
​その裏で、​明日のための​種も、​まいておく。

隠しきれない​日だって、​ありました。​でも、​うつむいて​隠そうとすると、​かえって分け目が​見えてしまう。​だから、​そういう​日ほど、​下を​向かずにいるように​していました。​気の持ちようだけど、​それだけでも、​少し違うんです。

あれから時間が​経って、​今の​私は、​あの​頃ほど分け目に​悩まなくなりました。​前髪は今も​ちょっと気に​なるけれど、​たぶん、​周りに​「薄い」とは​思われていない​——それくらいのところまでは、​来られました。​ウィッグを​考えるほど​追い詰められていた​あの頃に比べたら、​ずいぶん景色が​変わったなと思います。

隠したい。​でも、​負担はかけたくない。
​その板挟みは、​髪を大切に​思っている​証拠だと思います。

まだ、​自分の髪で。
あの​頃そう決めた​ことを、​今の​私は、​よかったと​思っています。

—— 前髪すかすかの​ぬー

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